卒業特集2009
(21)ソフトボール部/北澤慶介×齊藤奈都未
チームのために
最高の仲間、監督と過ごした4年間。感謝の言葉は尽きない。「ソフト部は、とにかく人間が良い」と口をそろえて言う。そんなソフトボール部を、1年間引っ張ってきた2人の主将、北澤慶介(スポ)、齊藤奈都未(教)がソフト部での4年間を通して得たものとは――。
1年時の春季リーグ戦から捕手として出場していた北澤。しかし、数々の経験の中であげた最大の苦難は、4年時の春季リーグ、桜美林戦にあった。北澤が入学して以来、日体大と国士館大以外に負けたことがなかった男子部が、負けた。主将には自ら立候補し、周囲の信頼も厚かった。そんな中で突きあたったカベ。「今まで自分がやってきたことが間違ってたんだなと思いました」。主将として目指してきたひとつの形が、崩れた瞬間だった。しかし、北澤が変わらず目指したのは「試合に出れない人たちも全員がこのチームで勝ちたいって思えるようなチーム」。そのために、主将として、ひとりの選手として、背中でチームを引っ張った。そしてそれは、大学選手権(インカレ)という大舞台で、最高の形で花開く。インカレ最終日の前夜、試合に出られない選手が浜辺で応援歌を練習している姿に北澤は気付いた。北澤が様子を見に行くと、北澤の応援歌で出迎えてくれた。また、インカレでの敗戦後、現主将の久我貴大(スポ3)は言った。「試合に出れない選手も含めてみんなが勝ちたいと思ってるその思いの強さは日本一だったとほんとに思います。」惜しくも優勝は逃した。だが、主将として築き上げたものは間違ってはいなかった。カベを乗り越えて、思いは確実に伝わっていたのだ。

1年時には女子部史上初のインカレ優勝を経験した齊藤。その後も3年生までは自分のプレーで結果を残せば良い、自分のプレーがチームに貢献できれば良いと、「楽な立場」でソフトボール生活を送っていた。だが、4年生になり、幹部学年になると状況は一変する。チームのために、自分自身ではなく他の選手のことを考えなければならない機会が増えた。初めはリーダーシップがないと叱咤されることもあった。だが、少しずつ自分なりの主将像を確立していった。決して背中で引っ張るタイプではない。だからこそ、「みんなの気持ちを汲んであげられるような主将」を心がけ、常にチームを思って、行動してきた。「幸せな1年間だった」と振り返る齊藤が唯一あげた、辛い出来事。それはインカレ直前のケガ。最後の大会に出られないかもしれない。募る不安や焦り。しかし主将としての役割があった。「自分が落ち込んでたところでチームはさほど変わらない。だったらチームのためにできることをやっていく方が良い」。落ち込んでいる暇はない。チームのため、声を出し続けた。そしてインカレの3回戦、1点を追う場面で代打として齊藤が出場。吉村正監督(昭44教卒)は、打席に向かう齊藤にこう告げた。「お前がケガをしたからって、主将だから出すんじゃない。実力があるから出すんだぞ」。その言葉に「打てると思った」と、すべての思いをかけて振り抜いた打球は見事、右前安打。会場中がその熱い気持ちのこもったプレーに歓喜し、沸いた。

「チームのために」――2人は、主将としてのスタイルは違ったかもしれない。だが懸ける思いは同じだった。卒業後、2人は教師として勤務することが決まっている。ソフトボールからは少し離れた生活。だが、全てに、ソフトボール部としての経験が息づいている。「一生懸命頑張ること、仲間っていうものの素晴らしさ」(北澤)、「辛いことに直面して、それを乗り越えようとか、真正面からぶつかっていこうとする時に、人間成長できるんだということ」(齊藤)を伝えていく。 (記事 亀井未希、カメラ 矢崎佐代子)
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