卒業特集2009
(5)準硬式野球/川口智久
主将とはなにか
「いままでのキャプテンたちには、ずば抜けた何かがあった。でも自分にはそれが無い、だからこそチームをまとめることを一番に考えなければ」。主将として迎えた昨シーズン開幕直後、川口智久(スポ)が口にした言葉である。軟式野球のエリート畑を歩き、早大でも入学直後からレギュラーとしてプレーしていたにも関わらず、だ。
輝かしいワセダの時代を再び蘇らせんと、渭原悠太(平21スポ卒=現社会人野球・鷺宮製作所)から主将のバトンを受け継いだ川口。「僕たちは伝統のワセダを背負っている、だからこそ恥ずかしい戦いをしてはいけない」。エンジのユニフォームに袖を通す誇りが、チームをまとめるはずだと信じていた。だが六大学春季リーグ戦、エース・原田健希(先理3)をケガで失ったチームは空中分解、5位に終わる。かみ合わない投打の歯車がチームにきしみを生み、ベンチから川口が叫ぶ「何が何でも」の言葉も、むなしく響くだけだった。
夏休み、川口はある決断を下す。「秋季は下級生で戦う」。準硬式野球の全国大会は全て春季の成績に基づいて進出できるか否かが決まり、秋季はリーグ戦の成績で次の大会に進めることはない。だが、自らの最後のシーズンである。それを賭してまで、川口は『名門ワセダ』の復活に懸けた。迎えた秋季リーグ開幕戦、相手は明大。復活したエース・原田が準硬式野球界最強投手・井上に土をつけた。若い選手が生き生きとした活躍を見せ、ベンチでタクトを振るう川口の采配がずばりと決まる。チームは生まれ変わった。順位・勝ち点こそ春季と同じだったが、明大、慶大、立大の上位3チームから白星を勝ち取るその戦いぶりは、川口の判断が間違っていないことを示した。名門ワセダ復活への、一筋の光明が見えた。
来年こそ『名門ワセダ』復活へ。志は、古跡勇太新主将(スポ3)らへ引き継がれた。卒業後は地元・栃木のクラブチームに所属、初の硬式野球に挑戦する。不安はあるだろう。だが、川口ならきっと硬式野球でもその名を轟かせるに違いない。ユニフォームに袖を通す喜び、そしてチームとして勝つ嬉しさを、誰よりも知っているのは彼なのだから。(記事・カメラ 山口俊大)

川口
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