卒業特集2009
(2)ラグビー蹴球部/瀧澤直
プロップ一筋
セットプレーやブレイクダウンを制し、BKへボールを供給する。華やかなBKのプレーに比べると、地味で目立たないFWの仕事。しかし「スクラムでは負けられない」と最前列で戦いに挑み、常にFWの支柱であり続けた男がいる。ワセダ不動のPR・瀧澤直(理工)だ。
清宮克幸前監督(平2教卒)から才能を見いだされ、瀧澤が初めてアカクロに袖を通したのはまだ入学間もない1年時。2年目からはスタメンに定着し、その地位を手中におさめた。翌春にはU-23日本代表にも召集。年を経るごとに、瀧澤の存在感は大きくなるばかりだった。
豊田将万前主将(平21スポ卒=現・コカ・コーラウエスト)率いる豊田組のもとで副将を務めた4年目は、波乱のシーズンだった。関東大学対抗戦・帝京大戦の敗戦で、8年越しで続いていた対抗戦連勝記録が53でストップ。早明戦でも屈辱の敗戦を喫した。しかし大学選手権決勝では帝京大に雪辱を果たし、連覇を達成。2年連続で『荒ぶる』を高らかに歌いあげた。苦しみのあとに訪れた、最大の歓喜。瀧澤にとって、同期とともに歩んだ最高の1年だった。
それゆえ、5年目もラグビーを続けるかという問いに瀧澤は思い悩んだ。「5年目は普通に大学生するのも良いかな」と思うこともあった。それにもかかわらず、瀧澤がチームに残ったのはなぜか――。「せっかくチャンスがあるなら挑戦したい」。純粋な思いが、瀧澤を突き動かした。
正真正銘のラストイヤー。瀧澤の経験は、今季小さめと評されたワセダのFW陣の武器となる。また、今まで背負ってきた『1』から『3』へコンバート、副将としてチームをけん引する立場からチーム全体を見渡す立場へと、瀧澤自身にも変化が訪れた1年だった。けれど、どんなときも変わらないことがあった。それは「縁の下の力持ちとして、チームを支えること」。プロップ一筋5年間、それが瀧澤のラグビーだ。
「いろいろ声はかけていただきましたが、ラグビーはやらずに新しいことをしようと思っています」。卒業後、瀧澤はプロとしてプレーするのではなく、社会人として新しい道を歩んでいくことを選んだ。人より少し長い大学生活、そして楕円球を追い続けた日々が終わりを告げる。しかしフィールドを離れても、私たちは瀧澤を忘れない。アカクロを身にまとい全力で体を張り続けた男を、忘れることなどできない。(記事 佐々木智美、カメラ 髙森静香)

瀧澤
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