1月2日、国立競技場にてラグビー大学選手権の準決勝が行われ、11日の決勝戦を戦う2校が決定した。Aブロックからは東海大、Bブロックからは帝京大。強力FWを擁する2チームが今季のファイナリストとなった。強力BKで注目を集めたワセダと慶應は、それぞれが帝京、東海の前に苦杯をなめている。双方接戦には持ち込んだものの、最後は相手の強力FWに跳ね返される形での敗戦だった。ワセダと慶應は今季2度対戦していずれも引き分け。大学選手権決勝の舞台で3度目の正直・・・ともなれば、11日の国立は最高の盛り上がりを見せただろう。しかし運命はそうすることを許さず、「優勝すれば初の大学王者」というニューフェイス2校に微笑んだ。来季以降の大学ラグビー界は、真の意味での戦国時代に突入する。
HO有田、SO山中ら主力が多く残る来季のワセダであっても、覇権奪還を成すことは容易でない。ライバル各校がFWの戦力を充実させており、肉弾戦の拮抗は必至である。「荒ぶる」を歌うための要素は多数あるにせよ、何にも増して重要なのは、2年前の権丈組がそうだったように「今日(12月27日)の悔しさを忘れない」(SO山中亮平)ことに尽きるだろう。さればこそ、勝つための工夫・手段は無限の広がりを見せるはずだ。
2009年12月27日、東京・秩父宮ラグビー場。午後5時を回り日が傾き掛けた頃、メインゲートの前で、早田組の全メンバーがこの日初めて一同に集まっていた。そこでは、この日で終焉を迎えた4年生達が、悲しさでもない、悔しさでもない、何かを「惜しむ」ような涙を浮かべ、抱き合い、あるいは呆然と立ちつくしている。耳に入る音は、洟を啜る音と嗚咽、そして出場メンバーが口々に発した「ごめん」の声。3年生以下の部員達は、流れる涙を拭いもせず、歯を食いしばりながらその姿を目に焼き付けている―。この光景こそが、残されるメンバーの原動力となる。
昨年、日本選手権でサントリーに敗れた後、豊田将万、長尾岳人、瀧澤直は、「負けて得るものなんて何もない」と口にした。それは真実かもしれないし、そうでないかもしれない。12月27日の敗戦は、少なくとも3年生以下の部員にとっては、来季以降に繋がる「何か」を手にした敗戦だったはずだ。
近く、世間の注目が届かない1月の上井草で、新生ワセダが始動する。その第一歩は静かだが、しかし例年よりも力強い第一歩となる。
「今日(12月27日)の悔しさを忘れない」(SO山中亮平)