ア式蹴球部
試合レポート
VS 流経大(第34回総理大臣杯全日本大学トーナメント関東代表決定戦)
第34回総理大臣杯全日本大学トーナメント関東代表決定戦
6月6日
早大東伏見サッカー場

一歩及ばなかったGK菅野(PK戦)
8月に大阪で行われる総理大臣杯本戦出場を懸け大一番に臨んだワセダ。相手は3年前のこの大会の覇者、流経大だ。ワセダは前半ロスタイムにDF野田明弘副将(スポ4)がFKを直接決め先制する。同点に追いつかれ延長戦に突入した100分、野田副将が今度は流れの中からこの日2点目のゴールで勝ち越しに成功。しかし、直後の106分に再び同点を許し、PK戦の末惜しくも敗れた。2度のリードを奪うも勝ち切れなかったワセダ。2年越しの全国への思いはホーム・東伏見で潰えた。
前日に続くPK決着。サッカーの神様は二度微笑んではくれなかった。7人目のキッカー、途中出場のFW佐々木絢也(スポ3)の放ったボールが力なく左ポストをかすめていく。目前に迫った全国の扉は陽炎の向こうに消えた。ユニフォームで顔を覆ったまま動けない佐々木。すぐさま駆け寄り、労をねぎらうイレブンも目に光るものを隠せない。終始先手を取りながらワセダに訪れたあまりにも残酷な結末。彼我を分けたのは一瞬の集中力、メンタリティの差だった。
誤算からのスタートだった。普段冷静な古賀聡監督(平4教卒)をして「驚いた」と言わしめた流経大の守備的陣形。前日延長戦を戦った疲れを考慮したのか、自陣を完全に固めてきた。これをワセダがいかに崩すかが前半の焦点。しかし、スペースを見つけるのに苦労し、ボールの出し所がない。中盤で自ら仕掛けてボールを引き出す動きにも乏しく、圧倒的なポゼッションとは裏腹に我慢の時間帯が続く。ロングフィードに活路を求めるも有効な打開策にはならず迎えたロスタイム、待望の先取点が野田副将の右足から生まれた。ペナルティエリア手前で得た代名詞ともいえるフリーキックは、カベを巻いてネットを揺らすビューティフルゴール。苦しみながらもワセダがリードして前半を終えた。

PKを外した佐々木を慰める野田(右)
「あれだけ(前半で)引いていたら、後半がっつり来る」(DF岡根直哉主将=スポ4)。流経大が予想通りペースアップして前への圧力を強めた後半。容赦なく照りつける日差しと連戦の疲労も相まって運動量が落ちたワセダの劣勢は致し方なかった。85分、猛攻に耐えていたDF陣が遂に決壊する。岡根主将がハイボールの処理を誤る痛恨のミス。頭上を越えたボールをフリーで受けた相手FW・武藤にそのままドリブルで持ち込まれ左足で同点弾を許し、2日連続の延長戦に持ち込まれてしまう。しかし、勢いに飲み込まれそうになるワセダを再び野田副将が救った。延長前半、右サイドを駆け上がって相手陣内に進入し「クロスを上げることは考えなかった」と迷わず中に切り込んで振り抜いた右足は値千金の勝ち越しゴール。勝利を確信したかのように腕を突き上げた野田副将の雄たけびが東伏見に響き渡った。
「野田さんのシュートが入った時にはいけるんじゃないかとどこかで思った」(MF奥井諒=スポ3)。勝利を意識し集中力を欠いたワセダの僅かな緩みを流経大は見逃さない。延長後半、残り5分を切ったところで、警戒していたはずの武藤にまたもや個人技でやられてしまう。ドリブルを止められず豪快に叩きこまれ悪夢の再同点。直後のPK戦ではGK菅野一弘(商4)が1人目を止めるなど意地を見せ、サドンデスまでもつれたが4-5で屈した。
PK戦は運の要素も多分に絡む。外した選手たちを責めることはできない。何より悔やまれるのは2失点が共に勝利まであと5分を切った場面だったこと。DF菅井順平(スポ2)は「一瞬のスキをつかれた。本当はそういうところをケアしなければ…」と唇をかんだが、勝ち慣れているチームとそうでないチームの差はこういった極限の場面で如実に表れる。したたかに好機を窺い確実にものにする流経大には『勝者のメンタリティ』とも言える精神的なタフさが備わっていた。近年タイトルと縁遠いワセダが見習うべきところは多い。場数を踏み、結果を出し続けることでしかこの差は埋められない。その為にも全国の猛者が集まる大阪行きの切符は是が非でも欲しかった――。この後はインカレ(全日本大学選手権)出場権を得られるリーグ戦4位以上を目指すことになるワセダ。きょうの涙を無駄には出来ない。全国で暴れまわる『ア式』の姿を見せるために、今は雌伏の時だ。
(記事 塚本一成、カメラ 菊池瑞)
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